小学生のころ、「ことばの教室」に通っていました

吃音

小1の教室で、私は吃音をいじられ怒りのあまり、椅子を振り上げました。
悔しくて、悲しくて、どうしようもなかった。

あの出来事をきっかけに、私は自分の吃音と向き合うようになります。
そして数週間後、母が私を連れて行ったのは――
家から少し離れた「ことばの教室」。通っていた小学校ではなく、隣の学区の学校にある、ことばに悩む子どもたちのための特別な場所でした。


「ことばの教室」との出会い

最初は「どんなところなんだろう?」と少し緊張していたけれど、不思議と不安はありませんでした。
「ここは、言葉の練習をするところなんだな」
そう思ったのを覚えています。

担当の先生は、女性の先生で、とてもやさしく、私をまるごと受け入れてくれるような温かい人でした。
1対1での個別指導が基本で、私は安心してトレーニングに取り組むことができました。

内容は、呼吸法や発声の練習、発話のスピードを調整する練習など、まさに「話し方のトレーニング」。
しかも、調子が悪い日は無理をせず、私の様子に合わせてメニューを調整してくれたので、ストレスを感じることもほとんどありませんでした。

結果的に私は、小学校卒業まで週に1回、その教室に通い続けることになります。
吃音は、すぐに改善したわけではありません。でも、少しずつ話すことへの自信がつき、周りの子に気づかれることも、だんだんと減っていきました。

もし、あなたのお子さんが「言葉に詰まって話せない」と悩んでいたら――
私の経験が、少しでも参考になればと思いながらこの話を書いています。


「ことばの教室」ってどんなところ?

「ことばの教室」とは、正式には「言語障害通級指導教室」「言語障害特別支援学級」と呼ばれ、言語に課題のある児童生徒に対する特別支援教育の一環です。

特徴は次の通りです:

  • 小中学校内に設置されており、通常学級と並行して利用できる
  • 支援は個別対応が中心で、週1〜2回、1回90分程度
  • 言語発達やコミュニケーションスキルの改善を目的に専門指導が受けられる

吃音に関しても、個々の発話の特徴や心理状態に合わせた支援が行われています。声を出すことへの不安を和らげ、安心して話せる環境を整えるのが第一歩です。


通級指導教室と特別支援学級の違いとは?

「ことばの教室」は、通級指導教室と特別支援学級の2つの総称です。

項目通級指導教室特別支援学級
在籍先通常学級特別支援学級
支援スタイル週1〜2回の個別指導毎日の支援+一部通常学級と交流
向いているケース軽〜中等度の吃音重度の吃音や強い不安がある場合
指導内容個別の話し方トレーニングなどより継続的・集中的な支援

通級指導教室とは?

  • 通常学級に在籍しながら、必要なときだけ別室で個別支援を受けるスタイル
  • 週1〜2回、授業や給食の合間を縫って支援時間を確保
  • 教室での支援は一対一が基本。子どもの特性に応じた柔軟な対応が可能

在籍学級において「遅刻・欠席扱いにならない」などの配慮もされており、在籍学級との連携もスムーズに行われています。

特別支援学級とは?

  • 特別支援学級に籍を置き、日常的に手厚い支援を受けられる
  • 体育・生活科・音楽などは、通常学級と一緒に学ぶ場合もある
  • より継続的で集中的な指導が求められる場合に選択される

吃音の症状が重度で、集団でのコミュニケーションに強い困難がある場合は、こちらの選択肢が適しています。


吃音のある子どもへの具体的な支援内容

ことばの教室では、吃音改善のための専門的な指導が個別に行われています。たとえば:

  • 呼吸や発声法のトレーニング
  • 発話スピードの調整練習
  • リラックス法や表現トレーニング
  • 音読・語彙活動での言語力向上

これらはすべて、子どもの発達段階や吃音の程度に合わせて丁寧に調整されます。

また、「話せた!」という成功体験の積み重ねが、自己肯定感や対人関係の改善にもつながります。


利用方法と相談先は?

ことばの教室を利用するには、以下の流れが一般的です:

  1. 教師や保護者が子どもの言語の様子に気づく
  2. 教育委員会や学校に相談(就学相談)
  3. 医師や言語聴覚士などの専門家による評価を受ける
  4. 教室での指導開始(教育支援計画に基づく)

利用には申請や面談などの手続きが必要ですが、保護者の意思が重視され、相談は随時受け付けられていることが多いです。

以下のような自治体、文部科学省のパンフレットも参考になります:


まとめ|吃音支援の第一歩は「知ること」から

「ことばの教室」は、吃音の若い当事者を支える公的な支援制度として、多くの家庭にとって大きな力になります。

もし、あなたのお子さんや身近な子どもが「話すこと」で困っていたら、一度、学校や地域の教育委員会に相談してみてください。早期の気づきと支援が、子どもの未来を大きく変える第一歩になるかもしれません。

「ことばの教室」は、私にとって吃音をなおす場所ではなく、自分の言葉の自信を育てる場所でした。
私が一番変われたのは、吃音が出てもしっかり聞いてくれる大人がいると知ったことでした。
それが、子どもにとってどれだけ大きなことか――今ならよくわかります。

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