「ことばがつっかえるのは、ぼくだけ?」
そんなふうに感じている子や、子どもを心配しているおうちの方へ——。
このページでは、「吃音(きつおん)」について、小学生にもわかるようにやさしく解説します。
まず、結論から!
吃音とは、「ことばの出だしがつっかえたり、くりかえしたりする話し方のくせ」のことです。
たとえば、「ぼ、ぼ、ぼくはね…」と何度も言葉をくりかえすのが、その一例です。
これは体の使い方や脳のしくみに関係していて、育て方や性格のせいではありません。
吃音は、めずらしくない
最新の日本の調査(※国立障害者リハビリテーションセンター)によると、
3歳の子どもの約11人に1人が、これまでに吃音を経験しているとわかりました。
実は、けっこうよくあることなんです。
しかも、吃音のある子のうち7〜8割くらいは大きくなるにつれて自然に治ることもわかっています。
つまり、多くの子が成長とともに、すらすら話せるようになります。
その後吃音が残るのは100人に1人程度と言われています。
なぜ吃音になるの?
いちばんの理由は、「うまれつきの体質」と言われています。
最近の研究では、吃音になりやすい体質が遺伝(親から子へ伝わるもの)と関係しているとわかってきました。
また、ことばをつかさどる脳の働き方にも関係していると言われており、急激な言語発達のためとも考えられています。
❌ しつけが悪いから? → ちがいます!
❌ 怒ったり、からかったりしたから? → ちがいます!
原因として教育や子育ての影響は否定されているので、吃音の子を持つ親御さんはどうか自分たちを責めないでください。
私も親が「私たちのせいでごめんね」などと思ってしまうと辛く思います。
どんなふうに話すの?
吃音のある人は、こんな話し方をすることがあります:
- 「ぼ、ぼ、ぼくは…」と音をくりかえす
- 「わーーーたしは」と音を伸ばす
- 「………(出てこない)」と言葉が止まる
こうした話し方には波があり、うまく話せる日もあれば、そうでない日もあります。
どんなときに出やすいの?
- たくさんの人の前で話すとき
- はじめての人と話すとき
- あせっているときや、緊張しているとき
でも、リラックスしているときや、一人で話しているときには出ないこともあります。
「出たり出なかったり」するのが吃音の特徴です。
どうすればいいの?
🍀 小学生のみんなへ
- 吃音が出て不安かもしれないけど、あなたは1人ではないです。
- 伝えられなくて苦しいと思うかもしれないけど、聞いてくれる人はいます。
- 真似されたり笑われたりして辛いなと思ったら、先生や親など大人を頼ってください。きっと力になってくれます。
🧑🧒 おうちの方へ
- 急かさず、子どものペースで聞いてあげてください。じっくり聞いてあげるだけで伝わったと思えます。
- もし、お子さんが学校生活で困っているなら、言語聴覚士や医師など専門家の助言を受けるのもおすすめです。
- 吃音は「いじめ防止対策推進法」や「障害者差別解消法」の対象なので、学校側と合理的配慮を検討されるのも良いと思います。
専門家の支援もあります
日本では、まだ吃音の専門家が足りていないのが現状ですが、
保育園や小学校、病院などで少しずつ支援が広がってきています。
たとえば「リッカムプログラム」という吃音支援方法では、
おうちの方が先生になって、子どもといっしょに練習するスタイルが注目されています。
最後に:ことばにつまずく子どもたちへ
吃音があっても、伝えたい気持ちは伝わる。
ゆっくりでも、言葉はちゃんと届きます。
あなたの話をしっかり聞いてくれる人が、きっとまわりにいます。
辛いと思うこともあるかもしれない。
そんな時は辛い気持ちを教えてください。
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